2008年7月30日水曜日

asahi society ethnic aboriginal Ainu cultural heritage

アイヌ古式舞踊、ユネスコ無形文化遺産に

2008年7月30日16時47分

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 北海道内唯一の国重要無形民俗文化財「アイヌ古式舞踊」が来年9月、国際的にも保護・尊重されるにふさわしいとして、ユネスコ(国際連合教育科学文化機 関)の無形文化遺産一覧表に記載される。文部科学相の諮問機関・文化審議会の分科会が雅楽や京都祇園祭の山鉾行事など13件とともに国内提案候補と決め、 文化庁が30日に発表した。

 アイヌ古式舞踊は、祭祀(さいし)の祝宴や民族儀式で披露される伝統的な歌や踊り。踊りに合わせて歌う歌と踊りを「リムセ」、座って歌うのを「ウポポ」という。札幌、千歳、旭川、帯広、白糠、弟子屈など15市町に17の保存会がある。

 ユネスコの無形文化遺産は、失われつつある文化を国際的に保護する必要性があるとして03年、総会で無形文化遺産保護条約を採択。日本を含む30カ国以上が参加して06年4月に発効した。各国政府が選んで提案すれば記載されるが、保護のための財政措置などは特にない。

 文化庁は国指定・選定の「重要無形文化財」「重要無形民俗文化財」「選定保護技術」から国内提案候補を選び、区分ごとに指定時期の早いものから順 に選んでいくことにしていた。アイヌ古式舞踊は84年1月に国重要無形民俗文化財に指定されており、同庁の基準に照らせば今回は対象外になるはずだった。

 ところが、アイヌ民族を取り巻く状況は、6月に先住民族と認めるよう政府に求める国会決議が採択されるなど一変。文化庁は、日本の文化の多様性を示す観点から「特別枠」でアイヌ古式舞踊が提案候補に入った。

 札幌ウポポ保存会の島崎直美事務局長は「世界的に認められるのは光栄で、とてもうれしい。今後もアイヌ古式舞踊の歌や踊りを、誇りと自信を持って次世代に受け継いでいきたい」と話した。



asahi science biology Tupaiidae tree shrew alcohol

熱帯雨林に小さな酒豪 しかも人より強いらしい…

2008年7月30日6時8分

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写真飲酒習慣が確認された小型の哺乳(ほにゅう)類ハネオツパイ=米科学アカデミー紀要提供

 東南アジアの熱帯雨林にすむ原始的な哺乳(ほにゅう)類ツパイのなかまが、アルコールを飲むことがわかった。日常的に「飲酒」習慣がある野生の哺乳類は珍しく、しかも人間より強いらしい。ドイツなどのチームが29日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。

 マレーシア西部のヤシの一種は、花の蜜が発酵するとアルコール度数が最高3.8度とビールなみになる。この木に群がる動物を調べたら、ツパイのなかまのハネオツパイが蜜を主食にしていた。

 ツパイはリスに似た小型哺乳類で、サルの祖先に近いとされる。発信器をつけて追尾したり、毛の中のアルコール代謝物を調べたりした結果、人間なら泥酔状態になるほどの量を飲んでいた。アルコールの代謝能力は人間より高く、「飲酒」後も平気で木に登る。

 花の蜜を飲むツパイが花粉を運び受粉を助けている。この「蜜月関係」は、ヤシとツパイの進化から考えて5500万年前から続いているとみられる。研究チームは「ヒトのアルコール代謝機能に受け継がれているかもしれない」という。(香取啓介)



2008年7月29日火曜日

asahi shohyo 書評

ゲバルト時代 [著]中野正夫

[掲載]2008年7月27日

  • [評者]唐沢俊一(作家)

■においまで伝わる現場からの証言

  とっぴな連想だが、本書を読んで押井守のアニメ「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」を思い出した。あのアニメは「永遠に続く学園祭前夜」が舞台 になっているが、本書は、67年から73年の日本における「永遠に続く革命前夜」という幻想の中でゲバルト活動に身を投じた、一青年の青春記なのである。

 サブタイトルで著者は自分のことを「ヘタレ過激派活動家」と自嘲(じちょう)している。しかしヘタレとは、言葉を換えて言えば そのころの多くの学生運動家が、空虚なイデオロギーに陶酔して目的を見失い、果ては赤軍派のようにテロや内ゲバによる殺人に走った中で客観的な目を失わ ず、学生運動自体がはらむ矛盾点をきちんと認識し、距離をとっていた、ということでもある。

 正直な話、これまでこの時代の革命闘争の記録をいくら読んでも、どこか得心がいかなかった。当時の思想状況や政治状況をいかに 解説されても、評者が子供心にあの頃感じていたある種の躁(そう)的な雰囲気が伝わってこないというじれったさがあった。あの騒乱を「革命ごっこ」、若者 たちの「パフォーマンス」とシビアな評価でとらえた本書の刊行で、やっとひざを打ったというのが本音である。

 著者の目は単にシニカルに学生運動を見ているだけではない。平和を唱えるだけで現実に対抗できていない市民主義者やインテリ文 化人を批判し、大学の不正経理を追及した日大生たちの闘争がいかに連帯感、一体感、正義感を共有できた素晴らしい闘いであったかについても力を込めて語っ ている。4万人集会のデモ行進で、道が本当に波打つように揺れたというくだりには現場にいた者のみが描けるリアリティーがある。

 一方でいかにも若者らしい女性問題での喜劇的かつ露悪的なドタバタや酒の上での失敗談もたっぷりと語られる。こういう生きたエ ピソードのない、理念だけの証言では、決してあの時代のにおいは伝わってこない。本書からは実に濃厚に、それがただよって来ている。この本を補助線にし て、今の日本、今の若者に思いを馳(は)せてみて欲しい。

    ◇

 なかの・まさお 48年生まれ。高卒後の6年間、ゲバルト活動に明け暮れた。

asahi shohyo 書評

あなたも作家になれる [著]高橋一清

[掲載]2008年7月27日

  どうすれば作家になれるか。公募の新人賞で予選落ちする理由、2次選考で落ちる理由。作家デビューできたとしても、書き続けられる作家は一握り。著者は文 芸春秋で多年、文芸編集者を務めて常に何かの賞にかかわり、芥川賞・直木賞の事務局としては計26人に受賞決定を知らせた。作家たちのエピソードととも に、小説を書くための助言を列挙する。たとえば、原稿用紙に一度縦書きにすること。「そこから文体が立ち現れてくる。それが日本語の特徴」とか。

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あなたも作家になれる

著者:高橋 一清

出版社:ベストセラーズ   価格:¥ 1,500

asahi shohyo 書評

ヤクザマネー [著]NHK「ヤクザマネー」取材班

[掲載]2008年7月27日

  「貯蓄から投資へ」を合言葉にした政府の規制緩和策に乗り、株式などへの投資を始めた人は多いだろう。始めた皆さん、膨張する市場に暴力団の巨額マネーが 流入し、取引をゆがめていることをご存じですか? 本書はNHKの取材班が、新興市場の整備につけこんで暴力団が闇の資金をいかにして膨らませているかに 迫った衝撃のルポ。暴力団幹部や資金運用に手を貸す「共生者」と呼ばれる元証券マンらを徹底取材し、モラルなきマネーゲームの実態を明らかにする。

表紙画像

ヤクザマネー

著者:NHK「ヤクザマネー」取材班

出版社:講談社   価格:¥ 1,575

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2008年7月28日月曜日

asahi local international religion Islam Mosque Japan

水田の中にモスク、イスラムと日本の文化融和図る 岐阜(1/2ページ)

2008年7月27日0時38分

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写真完成したモスク。水田の緑に白い建物が映える=岐阜市古市場東町田、松田写す

写真モスクの内部

地図

 岐阜市北部の緑の水田に浮かぶように、丸いドームの白い建物が完成した。東海地方で最大規模となる、イスラム教の礼拝所「モスク」だ。突然の異文化施設の出現に周辺住民に戸惑いもあるなか、イスラム文化と日本文化の融和モデルとなれるか。

 建設には、集まった浄財など約1億3千万円が充てられた。延べ約330平方メートルの施設は70人程度を収容できる礼拝所のほか、イスラム資料を収蔵する文化センターや学習室を備える。

 建設した丸平建設(岐阜県大野町)は初めて受けた外国人からの仕事だった。建設所長の村木哲也さん(45)はアラビア文字が書かれたタイルの上下がわか らず、礼拝前に手足を洗う沐浴(もくよく)室をシャワー室と勘違いしたこともあった。「デザインの違いはあるが、話を聞いてみると日本とそんなに変わらな い。お互いの文化が理解できた」と村木さん。

 27日に地元である開所式には、イスラム圏の在日大使館関係者やイスラム研究者に加え、周辺の日本人住民も参加する予定だ。

 地元の黒野自治会連合会の西垣安之会長(88)は「『モスクに遊びに来てください』と気軽に声をかけられ、いまでは心配はほとんどしていない」と話す。

 だが、日本社会に浸透しているキリスト教と違い、イスラム教への認知度合いはまだ薄い。世界各国でオイルマネーによる投資活動に期待が集まるが、地域社会がイスラム文化を受け入れられるかは別問題だ。

 約1400平方メートルの敷地が買いつけられた約1年前、住民たちは顔を合わせると、戸惑いや不安を口にしたという。建設の中心となった、パキスタン人の貿易商クレシ・アブドルワハブさん(50)が「道で会えば話しかけてください」と説いて回った。


(2/2ページ)

2008年7月27日0時38分

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写真完成したモスク。水田の緑に白い建物が映える=岐阜市古市場東町田、松田写す

写真モスクの内部

地図

 イスラム教徒はメッカに向けて1日5回の祈りをささげ、金曜日に集まって礼拝する習慣があり、モスクには日本の寄り合い所的な意味もある。

 クレシさんは98年に東海地方で初の本格的なモスクを名古屋市中村区に開設した。それ以前は借りたアパートに集まって礼拝していた。聞き慣れない外国語の祈りを耳にして周辺住民が不快にならないようにと、夏でも窓を閉め切ったが、退去を迫られたこともあったという。

 体育館などを借り、名古屋では金曜礼拝には2千人近くのイスラム教徒が集まることもある。岐阜市では300人程度が集まるという。

 クレシさんたちの説得に周辺住民の不安や戸惑いは弱まった。だが、いぜんとして「過激派が起こした同時多発テロなどイスラム教は怖いというイメージがあ る」「けんかや紛争が起きるんじゃないか」「地域のマナーを守らずゴミがほったらかしになるのではないか」という声も地元に残る。

 宗教法人「日本ムスリム教会」(東京都渋谷区)によると、国内にあるモスクの数は50〜60カ所程度とみられている。

 イスラム文化圏での日常のあいさつは「アッサラーム アライクム」。アラビア語で「神の平和があなたの上に」という意味だ。「イスラムと日本の文化の交流の場にしたい」。クレシさんは、完成した施設にそんな祈りをささげている。(松田昌也)



asahi world japanese literature history Andersen Glim juvenile book translation Meiji6

アンデルセンとグリム童話、翻訳本は明治6年に登場

2008年7月27日9時57分

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写真翻訳されたグリム兄弟とアンデルセンの童話が見つかった「サルゼント氏第三リイドル」(右)と「啓蒙修身録」

 グリム兄弟とアンデルセンの童話の翻訳が日本で最初に出版されたのは1873(明治6)年だったことが、横浜国立大学の府川源一郎教授(国語教育)の研究でわかった。これまでの定説より13年さかのぼり、当初から子ども向けの読み物として紹介されたという。

 1873年は、近代教育の始まりとなる学制発布の翌年。この年4月にグリム兄弟の「くぎ」を訳した「銕沓(かなぐつ)の釘(くぎ)の事(こと)」を収録 した「サルゼント氏第三リイドル」が出版。9月には、やはり「くぎ」を訳した「人の忠告を用ひずして損せし事」と、アンデルセンの「絵のない絵本」第31 夜を訳した「童児熊と戯(たは)むる事」を収録した「啓蒙(けいもう)修身録」が出版された。

 この2冊は子ども向けの啓蒙書で、さまざまな物語をまとめた米国の教科書「サーゼント第三読本」が基になっている。この読本は、幕末から明治初期にかけ慶応義塾でも英語の教科書として使われていたという。

 これまでの研究では、グリムもアンデルセンも1886年に出版された翻訳が最も古かった。グリムはローマ字の雑誌、アンデルセンは学習書に、それぞれ収められていた。

 府川教授は「富国強兵が教育の目的となっていく時代に、どれほど読まれたかわからないが、日本の子どもがグリムとアンデルセンに触れる最初のきっかけになった」と話す。この研究成果は岩波書店「文学」7.8月号に掲載された。(神田明美)

asahi geino society internet crime Bakusho Mondai

「爆笑問題・太田さんを殺害」書き込み容疑で逮捕

2008年7月27日14時32分

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 ネット上でタレントの殺害を予告したとして、警視庁は埼玉県上尾市上尾村、無職小沢史人容疑者(32)を脅迫容疑で逮捕したと27日発表した。「冗談のつもりだった」と供述しているという。

 杉並署などの調べでは、小沢容疑者は7月8日午後1時ごろ、自宅のノートパソコンを使い、インターネット掲示板「2ちゃんねる」で、タレントで爆笑問題 の太田光さん(43)を名指しし、「包丁で刺し殺します。これは犯行予告だ」などと書き込んだ疑い。このほかにも、同日から9日にかけて計4回、同じ内容 の書き込みをしていた。

 太田さんはテレビなどでネットへの殺害予告を批判しており、小沢容疑者は太田さんがこうした発言をしているのを知って書き込んだという。

 閲覧者からの通報を受け、同署が太田さんから被害届を受理していた。