2009年4月22日水曜日

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最後の琵琶法師弾き語り、岩波新書の付録DVDに

2009年4月22日3時3分

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写真:「最後の琵琶法師」の山鹿良之さん=兵藤裕己さん提供、82年撮影「最後の琵琶法師」の山鹿良之さん=兵藤裕己さん提供、82年撮影

 「最後の琵琶法師」と言われた故・山鹿良之さん(1901〜96)の弾き語りをDVDで付録にした岩波新書「琵琶法師——〈異界〉を語る人びと」が21 日、発売された。山鹿さんの映像はこれまで、一部の博物館や研究機関にしかない"幻の映像"だったが、一般に広く触れてもらおうと、同新書で初のDVD付 録としてよみがえった。

 著者の兵藤裕己・学習院大学教授(日本中世文学)によると、琵琶法師とは、琵琶を弾きながら「平家物語」や「小栗判官」などの物語を語る盲目の芸 能民で、宗教儀礼も行った。平安時代から存在したとみられるが、戦後急速に姿を消し、1980年代には、琵琶の弾き語りで生計を立てていたのは熊本県南関 町に住む山鹿さんだけになっていた。

 兵藤教授は「山鹿さんの伝承する50以上の語り物を記録するには時間との勝負」と、82年から10年以上にわたって山鹿さんのもとへ通い、テープ 約800本分を録音・撮影。今回はそのなかから、89年3月に撮影した「俊徳丸」の三段目の映像の一部(約20分)を新書の付録にした。

 山鹿さんの映像には92年の映画「琵琶法師 山鹿良之」(青池憲司監督)があるが、兵藤教授によると、一部の博物館などにしか所蔵されておらず、 今回のDVD映像が「手近に見ることのできる唯一の資料」という。兵藤教授は「人のもつ根源的な哀感を感じさせてくれる。平家物語などの文学にも影響を与 えた中世の琵琶法師の姿を今に伝える貴重な映像」と話す。

 1029円。(久保智祥)



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