2009年4月10日金曜日

asahi literature new poem Kenji Miyazawa

宮沢賢治、地図の裏に未発表詩 三十数年ぶりの新作

2009年4月8日20時50分

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写真:地図の裏面に書かれていた宮沢賢治の詩の草稿=林風舎提供地図の裏面に書かれていた宮沢賢治の詩の草稿=林風舎提供

 今もファンの多い詩人・作家宮沢賢治(1896〜1933)が書いた未発表詩の草稿が見つかった。賢治の作品はこれまでの研究・調査でほぼ出尽くしたとされており、新たな詩が発見されたのは三十数年ぶりという。

 昨年、岩手県花巻市にある賢治の生家の蔵を解体しようとした際に、はりの上に置かれていた書類の中から見つかった。5万分の1地図の裏面に鉛筆で書かれていた。筑摩書房から刊行中の賢治の全集の編纂(へんさん)委員が確認したところ、未発表の草稿と判明した。

 〈停車場の向ふに河原があって〉に始まる16行の詩で〈停車場の前にがたびしの自働車が三台も居て/運転手たちは日に照らされて/…ここから横沢へかけ て/傾配つきの九十度近いカーブも切り/径一尺の赤い巨礫(きょれき)の道路も飛ぶ/そのすさまじい自働車なのだ〉といった明るい光景を描いている。

 全集編纂委員の杉浦静・大妻女子大教授は「生前に唯一出版された詩集『春と修羅』(24年)の刊行後に書かれたものと見られる。たまたま手元に あった地図の裏に書いたままになっていたのだろう。乗り合い自動車という現代的なものが川の流れと対比で描かれているのが面白く、賢治の詩の切り口として は珍しい」と話す。

 新発見された詩は、このほど刊行された「新校本 宮澤賢治全集」別巻(筑摩書房)に収録されている。



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