2009年4月6日月曜日

asahi science society Yoichiro Nanbu

早すぎた男 50年後の受賞

2009年4月6日14時22分

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写真ノーベル賞の受賞講演で、欠席した南部陽一郎さんとともに撮った写真を背に話すジョバンニ・ヨナラシニオさん=08年12月、ストックホルム

写真江口徹さん

 みなさんの中には、体重計の目盛りを恨めしく思っている方がいるだろう。でも、なぜ人間に体重があるの、と疑問に思ったことはありますか。

 ノーベル物理学賞を昨年受賞した南部陽一郎(なんぶ・よういちろう)(88)が問い続けているのは、突き詰めれば、その答えである。

 物質を細かく分けていくと、目に見えない究極の粒「クォーク」に行きつく。人間の身体は、1万の1兆倍の1兆倍、つまり10の28乗個ほどのクォークでできている。クォークなど、この世界を作る極微の存在が「素粒子」である。

 南部の研究テーマは、そんな素粒子がなぜ質量を持つのか、である。それがわかれば、素粒子の集合体である人間に体重があるのも納得できる。謎を解くカギが、ノーベル賞受賞の理由となった「対称性の自発的破れ」。今からほぼ半世紀前に南部が発見した。

    ◇

 東京に生まれ、福井に育った南部は、父や親類の影響で科学好きに。大阪帝大の湯川秀樹(ゆかわ・ひでき)が未知の素粒子である「中間子」の存在を予言し たとき、南部は14歳。予言的中に刺激され、日米開戦の前年、東京帝大に入学した。素粒子の教授がおらず、やむなく他の物理を学んだ。戦後、東京文理大の 朝永振一郎(ともなが・しんいちろう)のゼミを聴いた。

 31歳のとき、朝永の推薦で米プリンストン高等研究所に、2年間留学した。そこに相対性理論を築いたアインシュタインがいた。でも、成果を求めて猛烈な競争をする雰囲気になじめなかった。

 シカゴ大に移った。物理のあらゆる分野の専門家たちが、自由に議論する場は、居心地がよかった。教授になってしばらくたった59年秋、一人の研究員がイタリアから留学にきた。現ローマ大名誉教授のジョバンニ・ヨナラシニオ(76)だ。

 素粒子を専門とするジョバンニに、南部は「超伝導」を語り始めた。超低温になった金属が、電気を抵抗なく伝える現象だ。最後に南部は言った。「そ れをね、素粒子の質量の問題に応用するとね……」。ジョバンニは面食らった。必死に計算すると、南部は「やったなあ、君の成果だよ!」。ジョバンニはふり 返る。「南部はとっくに同じ結論を得ていたのさ」

 素粒子理論に超伝導理論を生かしたのが、南部が60年に発表した「対称性の自発的破れ」である。もともと世界は左右の区別がない対称だったが、不安定で、非対称になるように自然に変化する。その変化の中で「質量」が現れる、というのだ。

    ◇

 70年に米国籍をとり、シカゴに住む南部のもとに、10人以上の日本人が訪れ、研究してきた。そのほとんどが、日本の素粒子理論の指導的な立場にある。江口徹(えぐち・とおる)(61)もその一人。京大基礎物理学研究所の現所長だ。

 江口にいわせると、南部はノーベル賞級の仕事をいくつもしてきた。04年に受賞した別の素粒子学者の研究の基礎には、南部の仕事があり、「南部は早すぎた」とさえいわれた。本人は「昔は欲しいと思ったこともあったけどね」とそっけない。

 「このままではいつになっても、先生は受賞できない」と江口は95年、南部の論文選集を作る。今回のノーベル賞の発表資料には、その選集でしか読めない論文が引用されていた。

 昨年のノーベル賞授賞式。都合でストックホルムに行けなかった南部の代わりに講演をしたのは、ジョバンニだった。「超伝導」と「素粒子」を重ね合わせ、思いもつかない物理を生み出す南部のすごさ。「彼の前では、素粒子物理しかできない欧米の学者が保守的に見える」

 私は、南部の背筋をぴんと伸ばした姿と、じっくり言葉を選ぶ語り口に、古武士の風格を感じてきた。今回も話を聞きたかったが、丁重な断りのメールをいただいた。賞をもらって一番喜んでいるのは、ジョバンニや江口ら、南部を取り巻く人たちだ、と私は思っている。

 日本の素粒子物理学は百花繚乱(りょうらん)である。湯川のノーベル賞受賞から60年、超ミクロの世界で素粒子を追いつめる狩人たちを追う。

(このシリーズは内村直之が担当します。本文中は敬称略)



1 件のコメント:

西川 美幸、博士(理学、東京大学)、前・日本物理学会代議員 さんのコメント...

(被害届)

西川 美幸、1975年生まれ
http://nisimiyu.cocolog-nifty.com/about.html 参照。

私は東京大学の理科I類に入学後、上位1割の成績で、物理を学びました。
しかし、詐欺的な「超対称性理論」に反する博士論文は、500億円の税金を使う
ILC計画の推進者等に削除されました。29歳過ぎまで常勤職に就けず、
7年に及ぶアカハラで、平均年収は授業料未満の15万円。
「白痴」と言われて退学までさせられた不名誉な学歴で、今も研究職には
就けていません。「成績が悪いから留年したのだ」と低く評価されます。

2008年稼動したLHC実験で超対称性粒子が見つからなければ、この研究者達に、
1000万円を弁償してもらいたい。

中学生時代から研究職志望で、努力を重ね現実の問題解決に役立つ理系知識を
学んでも、詐欺教授に差別され採用されませんでした。

両親は幼少時に親をなくして共働きで育ててくれ、学業のため犠牲にしたものは
大きいです。でも、そのためにかえって
「女のくせに、お金に任せて東大に入り、さぞ年収も高いんだろう、生意気だ」
と、事情を知らない人の憎しみを煽られるような被害妄想があります。

1.基本的人権の侵害
素粒子理論分野では30年前から全く実験と合わない「超対称性理論」が流行しています。
この理論が正しければ、素粒子の数は現在知られているものより倍増するはずなのに、
それらはひとつも見つかっていず、現存する素粒子のみで実験結果を非常に良く再現します。
この理論に反対する私は大学院在学中の7年間(1998-2004年)に渡り、論文を無視され
たり、博士論文を問答無用で1/6に削除させられるなどの被害を受けました。また、
「白痴」と言われて一度退学させられたり、学位取得が延びたために、その間就職も
できず、名誉を毀損され学問の自由を奪われました。
これは名誉毀損や学問・職業選択の自由の侵害に当たると思います。
私は今もこの事実により「研究能力がない」と言われたことがあり研究職には就けていないため、
この被害は現在にも及びます。

2.経済的な被害
私は2001年からこの理論を「信用できない」と公言していましたが、「超対称性理論」を
研究する学生は同じ大学院生なのに年収240万円の研究員に採用されたのに対し、
私は年収2-24万円で、海外出張旅費補助も出ず、科研費申請もできず差別待遇を受けました。
7年間の平均年収は15万円ほどで、学費50万円や国民年金18万円を払った上、返還免除職を
期待していた奨学金も返還しなければなりません。これは生活保護や受刑囚の待遇よりも悪く、
1998年に大学を卒業してすぐ就職した場合と比べると、7年間では2千万円以上の被害です。

3.組織的な詐欺犯罪といえるほどの社会的影響の大きさ
被害者は私だけではありません。大学院入学試験の不備で私と同様に受けなおした
女子学生はアルバイトと「超対称性理論」の両立で過労気味で、自殺しました。
また、現在最高裁で死刑を上告中の豊田亨被告の修士論文「ゲージ対称性の起源」にも
「超対称性を摂動的に破ることはできないことが知られているので、実験と合わない」
と書かれています。豊田亨被告は博士課程1年在学中に出家した先輩なのですが、
このように詐欺的な理論を学ばされ、正しい科学的理論を指導されなかった意味で、
むしろ被害者とも考えられます。科研費を検索すれば判るとおり、税金を使って
「超対称性理論」を研究した素粒子理論学者は100名ほどにもなります。

私は2003年から学内で「アカデミックハラスメントの事実」について発表し
(http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/kouhou/1250/1.html参照)
「アカデミックハラスメント調査委員会」も設けられましたが、報告書は
「アカデミックハラスメントの事実はない」という誠意の無いものでした。
教授たちの理論は全く実験と合わないのに、謝罪したことも無く減給処分なども
受けていません。私は一方的に被害を受け続けています。

4.税金の使途に関する不正
柳田勉指導教官は、2000年頃から「標準理論が出なければしょうがない」
「何かやっているように見せなくちゃいけないじゃない」
と、自分の理論が疑わしいことを認めるような発言をしていました。しかし
現在もこの、存在が疑わしい「超対称性粒子」発見を口実として、
7百億円の税金を使うLHC実験が進行中であるほか、別途1千億円の
税金を使うILC実験が推進されています。私の削除された部分の博士論文
原稿では、「超対称性理論」が回転座標系と慣性系を混同した天動説ともみなせる、
全くの誤りである可能性を議論しています。このように信頼できない理論なのに、
批判する私の論文は「削除しなければ学位を授与しない」と脅迫して言論の自由を
奪い、この理論が真実であるかのように国民をだまして実験を推進しています。

5.無限連鎖講は犯罪
大学院入学希望者のための研究室紹介
http://hep1.c.u-tokyo.ac.jp/intro/ に
「参考のために大学院生の進路について簡単にふれておこう。最近20年間において
本研究室で大学院を終えて博士号を取得した者の数は約40名である。そのうち1/2
(この比率は全国的に見ても群を抜いて高い)の約20名が国内外の大学の教授、
助教授、講師、助手(京大、東北大、東大、阪大、名大、広島大、筑波大、東工大、
米国Maryland大、カナダTronto大等)、」
などで活躍している、とありますが、この宣伝文は1998年8月当時からほぼ変わって
いません。事実なのか追跡調査が必要ですし、研究職への採用過程というのは、
教授の推薦文が必要で学力考査なしに行われ、まったく不透明なものです。
「超対称性理論」「超弦理論」のように実験とまったく合わない理論を商品として、
教授に気に入られた特定の研究者のみ採用されるなら、犯罪ではないでしょうか。
現実には、2001年から超対称性理論を批判していた私を含めて、多数の、研究職に
就けていないオーバードクターがいます
(http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~sokened/sokendenshi/2009.htm 参照)。
在学中、任期付でない助手に採用されたのは、科研費を使う宿泊型の研究会
「Summer Institute」で、先生にビールを注いだりする「茶坊主をしていた」
とホームページで書いていた人ですが、その研究会は
「やる気のある人だけ参加可能」という名目で、私には参加すら許されませんでした。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:Nisimiyu
もご参照ください。